進化&定番「チラシ曼荼羅」
古来、仏教の世界観を絵として表し伝えたものに「曼荼羅」があります。幾何学的な構図に菩薩さんがたくさん描かれていたりするアレです。たまたま読んでいた雑誌にいくつか紹介されていたのですが、これは他の文化圏に教義を伝えるためか絵だけの表現で文字情報は記されていません。
しかし、結果としては多くの地域に仏教伝来を果たした訳です。(曼荼羅だけの功績ではないでしょうが)そう考えてみると、これはチラシの理想形とも言えるかもしれません。
私たちの住まいのポストに入ってくる、最近のチラシはどのようになっているのでしょうか?前回コラムの続き、チラシの束から印象深いものをピックアップしてご紹介します。私見ですが同業視点のコメントつきです。ご興味のある方はお付き合い下さい。
●”小冊子級”情報量の「新型折チラシ」
↑ポストに投函された状態(モノクロとカラーを2枚重ね、折り目位置をずらして折ってあります)
↑開いてみた状態(1枚目モノクロ)
↑開いてみた状態(2枚目カラー)
↑2枚目カラーをさらに開いてみた状態(どんどん情報が出てきます)
●”透明封筒封入専用”デザインチラシ
↑”料金後納”も”宛名印刷部分”もデザインに組み込まれた究極のA4ハガキDM
↑透明封筒に封入する前提で最適化されたデザイン(宛名シールの貼り位置もココに決まっているようです)
●雄弁すぎる「営業系チラシ」
↑表面 よく研究されたパターンの「営業系チラシ」
↑裏面 セールスポイントも見やすくフルに盛り込まれています…(営業マンの話すことがなくなりそうです)
●VC製「テンプレートチラシ」
↑情報がシンプルに整理された「テンプレートチラシ」
↑裏面もしっかりとパターン化されています
●リフォーム屋さんの”キラーコンテンツ”搭載チラシ
↑リフォーム屋さんの完成見学会チラシ(表面)たくさんの情報が上手に整理されています
↑同裏面 完成見学会場で補助金活用セミナー同時開催(どうやらこれが集客のキラーコンテンツになっているようです)
ここからは、昔ながらの定番パターンのチラシ。紙質や印刷品質はかなり良くなりましたが、基本パターンは数十年来の”定番”です。これだけ廃れないところを見ると、ひょっとするとこの大いなるワンパターンが確実な認識率の高さを維持しているのかもしれません。
●リフォーム屋さんの”定番チラシ”
↑リフォーム屋さんの”定番チラシ” こちらは定期で入ります(いまどきは営業マンは素人の代名詞になってしまったようです)
↑リフォーム業界はすっかり補助金頼りの営業パターンになっています
↑昔から根強い設備単体「込み込みチラシ」(最近このパターンがまた増えてきました)
●金券プレゼント「大盤振る舞いチラシ」
↑昨今ではQUOカード、Amazonなどの金券プレゼントの金額はひと桁変わってしまいました(1組あたりの集客コストが上がってきている証左ですね)
↑こちらは30,000円分だそうです(家は900万円台〜にもかかわらず)
●豪華いまならプレゼント「キャンペーンチラシ」
↑いつも送ってくる大手ハウスメーカーのDM(今回は食器洗い乾燥機プレゼントのキャンペーンです)
↑ごていねいに別紙で食器洗い乾燥機のみのチラシ付きです
↑同裏面。”メーカーカタログ級”の詳しさです
↑こちらは坪100,000円お値引きの”実弾”攻撃です
●大手ハウスメーカーの「建売物件チラシ」
↑大手住宅メーカーA社建売物件のチラシ(近くで何棟もあるようです)
↑こちらも大手ハウスメーカーB社の建売物件チラシ(どう見ても苦戦しそうです)
↑大手ハウスメーカーC社の建売物件チラシ(サイズもプランも地元の不動産屋さんと完全に競合する内容です)
いかがでしたか?
「チラシ」の世界観は多様になりましたが、「目をひく表現」「わかりやすさ」は旧来から変わらない重要要素のようです。チラシも他社のものと各家庭のポストの中で競争しています。手に取ってもらってなんぼ、目を通してもらってなんぼ、の世界です。
そのような目で見てみると各社の事情がだんだん透けてきます。繰り返しポストに入ってくるパターンの中には、おそらくは反響実績のよいものもあるはずです。
しかし、真似する前にひとつお願いです。御社との「対象客」の違いがあるのか?ないのか?を冷静に見極めることです。「対象客」が違う場合は安易に真似てはいけませんから。
チラシ『珍百景』(その3)も見てみる