売れる力とは? 続・家づくりの玉手箱 2025.10.26

意外にも判明した寝室の「汚染源」

 

 

温湿度計の買替えから

 

 

以前から自宅で使っている温湿度計の調子が悪くなってきたので、買い替えることにしました。スマホにBluetooth接続ができて機能的には便利ですが、この手のデジタル製品の寿命は短いのが難点です。同じものを求めようとしても、すぐに廃盤になっていたりするのも最近の製品の特徴ですよね。中には製造・販売している会社が無くなっていたりすることも珍しくありません。

 

↑ずっと自宅で使っている温湿度計

 

 

幸いその温湿度計は同じものがまだ販売中だったのですが、ふと目につく上位製品がありました。温湿度計にCO2センサーがついたものです。文字通り室内の二酸化炭素濃度もリアルタイムで測定・表示・記録できる訳です。AmazonのAIはさりげなく上手におススメしてきます。つい興味がそそられて、CO2センサーつきのものを買ってみました。(家じゅうの温湿度計計測については、こちらのコラムで詳しく書いています)

 

■暑い寒いの『モノサシ』1

 

https://tamatebaco.co.jp/mr-shikujiri/atsuisamui-m1/

 

↑今回買ってみたCO2センサー付き温湿度計

 

 

どこに置こうか?と考えた末、いつも寝ている屋根裏のベットサイドにしてみました。一番変化のありそうな場所で、夜間就寝中の二酸化炭素濃度を測ってみようと思ったのです。ご存知の方も多いかと思いますが、自宅には換気しながら床暖房ができる空気式ソーラーシステムがついています。なので、ドアや部屋ごとの間仕切壁らしきものがほとんどありません。

 

そういった事情から家の中の空気は自由に動きやすいつくりです。また、大きな開口部には手作りの木製建具が何ヶ所も入っていますので、気密性は相当低い家です。なので「二酸化炭素濃度は就寝中を含めて比較的低いレベルで安定しているのでは」と予想していました。

 

↑とりあえずここに置いてみました(私のベッドサイド)

 

 

空気式ソーラーシステムについては以下のコラムで詳しく書いています。

 

■『ぜいたくソーラー』の季節

 

https://tamatebaco.co.jp/zoku-tamatebako/zeitaku-s-k/

 

 

 

二酸化炭素の意外な発見

 

 

しかし、いざ測ってみると結果は意外なものでした。

 

予想に反して、就寝中の二酸化炭素濃度がどんどん上がっていたのです。(以下画像ご参照ください)このグラフは1週間データです。窓を閉めて寝ていた日は、朝起きる頃には1,000ppmを超えています。窓を開けたまま寝ていた日は500〜700ppm程度までになっています。

 

何より驚いたのは、朝起きて窓を開けるまで二酸化炭素が枕もと周辺にとどまっていたことです。自宅では家じゅうの空気が繋がっていますし、寝ているのも二人だけです。呼吸で排出される二酸化炭素は、家じゅうの空気と混ざり合ってどんどん薄まっていくものと思っていたので、かなり意外でした。空気って、イメージしているよりも淀みやすいようです。

 

↑CO2濃度が高い日は窓を閉めていた日です(CO2センサー付き温湿度計の1週間データ表示)

 

 

↑窓を閉めていた日はCO2濃度が急上昇しています(CO2センサー付き温湿度計の9/20の1日分データ表示)

 

 

↑窓を開けていた日はCO2濃度の上昇は少ないです(CO2センサー付き温湿度計の9/21の1日分データ表示)

 

 

二酸化炭素の比重は、空気の比重を1とした場合に約1.5です。これは、二酸化炭素が空気よりも約1.5倍重いことを意味し、そのため二酸化炭素は空気よりも下に滞留しやすい性質を持ちます。なので、枕もと近くに置いたCO2センサーの数値がどんどん上がっていったものと思われます。

 

もし、寝床がベッドではなくお布団であった場合には、もっとCO2濃度が上がりやすい環境であるはずです。高気密住宅と、和室などでお布団で寝るスタイルは空気質的には相性が良くないと考えられます。

 

室内の風通し環境をイメージ通りつくるのは、実のところ大変難易度が高いことです。一般に戸建住宅・マンションのイラストなどに書かれている空気の流れの矢印などは、まさにイメージであり「ファンタジー」とも言えるものです。実際には、あのような流れになることはほとんどありません。また、空気質なるものは往々にして体感と一致しないこともあり、評価も難しい分野です。

 

だからこそ「聞きかじり」ではなく「数値的な裏付けのあるもの」「体験にもとづくもの」が重要なのです。「受け売り」を単純に拡散することは、プロとしては慎むべきでしょう。

 

ちなみに空気中の二酸化炭素濃度は通常410ppm程度とされており、室内で推奨される二酸化炭素濃度の基準は1,000ppm以下です。この濃度は室内の空気汚染を判断する1つの指針となっていて、この基準値を超えると室内環境が悪い・換気不足と判断され換気が必要とされています。(以下表ご参照ください)

 

↑「建築物環境衛生管理基準の検討について」から抜粋(厚生労働省WEBサイトより)

 

 

そして、空気中の二酸化炭素濃度は徐々に変化してきています。大気中の二酸化炭素濃度は増加傾向にあり、10年ごとに約 20ppm 上昇しているそうです。

 

↑「建築物環境衛生管理基準の検討について」から抜粋(厚生労働省WEBサイトより)

 

 

地球規模の二酸化炭素濃度については、以下のコラムで詳しく書いています。

 

■「二酸化炭素」と 印象操作

 

https://tamatebaco.co.jp/sells-force/n-t-i/

 

■「酸素」について、ふと考える

 

https://tamatebaco.co.jp/sells-force/s-f-k/

 

 

 

ある夜のBARでの『国宝』ばなし

 

 

先日、友人と飲んだときに彼の行きつけだというバーに連れて行ってもらいました。

 

どうやら近くで食事した際、締めにいつも立ち寄っているお店のようです。長いカウンター以外にもボックス席がふたつほどあり、私たちと同じ年代のマスターがひとりで切り盛りしています。

 

友人と私はマスターに出迎えられてカウンターに座りました。その日はまだ時間が早く、我々以外にはボックス席にひと組の先客が談笑していました。

 

最初の一杯を注文し乾杯、私が手洗いに行って帰ってくるとマスターが映画『国宝』の話題を友人に振っていたようでした。おしぼりをもらって、しばらく聞いていると二人とも映画は見ていないようでした。マスターは次々と作品のネタバレや裏話的なネタを繰り出しています。友人は「えー!そうなん!」と、とてもいいリアクションです。

 

↑映画『国宝』の看板。100年に1本という言い方はかえって安っぽく見えますよね

 

 

↑原作『国宝』の書籍。上下巻で840ページもありますが、引き込まれ読めてしまいました

 

 

実は私はたまたまその映画を見ていましたし、珍しく原作本も読んでいました。なので、作品の内容はかなり入っていたのです。マスターの話は面白いのですが、当然のことながら「受け売り」の域を脱しません。また、作品の内容(映画とも原作とも)と違った内容が散見されます。要するに「テキトー」なのです。酒の席のネタとして、お客さんから聞いた話をおもしろおかしく喋っている訳です。

 

たまたまその話題に詳しかったこと、まだ酔っ払う前だったことから、私はその時に少し意地悪な印象を持ってしましました。まず、私たちと同年代というと60歳代です。まあもういい歳です。

 

「100%聞きかじりの”受け売りトーク”はイマドキではないなあ」

 

「いい歳をして、こういう軽さはちょっと恥ずかしいなあ」

 

ネット検索やAIに質問(これも結局ネット情報)すれば、もっと作品に沿った深い考察や裏話はたくさん出てくる時代です。調子良くしゃべる前に、目の前の顧客も簡単に深い情報を得られる環境であることを忘れてはいけません。あなたが手軽にできることは、顧客だって手軽にできてしまうのです。

 

このマスター、私同様アナログ世代です。同年代の常連客に、昔のノリでついつい話してしまうのはとても理解できます。 料理はすごく上手でおいしいし、イイひとなのですが、私はこの店にひとりで入って「またこの人と話したいな」とは思えませんでした。

 

↑今どきでは「受け売り」話は要注意ですよね

 

 

「二酸化炭素」の話も「映画」の話もテキトーに話すのではなく、実際のものや根拠にもとづく内容を語りたいものです。あなたの話を聞いたひとが、また別の人に話すかもしれませんしね。

 

「人の振り見て我が振り直せ」とも言いますし。

 

社長の会社では、専門分野を話すとき自らの経験・体験を基にしていますか?もしかして、AIやネット・メディアや書籍などの受け売りになっていませんか?

 

 

 

 

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