続・家づくりの玉手箱 2022.01.24

薪ストーブの「ガラス事故」から

 

慣れてきた頃にやらかしてしまう

 

年が明けると、鹿児島でも本格的に冬になってきます。

 

ここにきて薪ストーブの稼働時間も長くなってくるのですが、やってしまいました。扉にはまっているガラスを割ってしまったのです。薪ストーブにギリギリ入るかどうかの長い薪を入れて扉を閉める際に、ガラスに当ててしまったからです。

 

↑やってしまいました!(限界に挑戦しすぎました)

 

薪ストーブの扉のガラスがなくなってしまうと「暖炉状態」になります。中の薪がはぜると室内にパン!って飛んでくるので見張っておかないと危険が伴います。ガラスが割れた時は燃焼中でしたから急いでカバーを探しました。

 

↑倉庫にあったアルミ版で特設カバーをしたところ

 

自宅の薪ストーブは、薪を燃やすための空気を2箇所から吸入する仕組みで、それぞれ流入量を調節できるようになっています。(上の画像でいうと扉の上下にあるのが吸気口です)いっぽう、暖炉は吸気は常にフリーで調節できません。なので、ガラスが割れると同時に酸素全開状態になって火がすごい勢いになりました。翌朝、バルコニーに目をやるとあちらこちら煤だらけになっていました。

 

↑翌朝バルコニーが煤だらけに!

 

↑よく見ると大粒の煤がデッキのあちらこちらに

 

↑屋根の上を見てみたら、やっぱり煤だらけでした

 

 

いざと言う時には「情報」が欲しい

 

割れてみてよく分かった訳ですが、ガラスは火の制御のために必須です。こういうときにユーザーが「何」を求めるのか?「何」を求めないのか?そのとき、建てた会社はどう対応するのがよいのか?あらためて考えさせられることになりました。

 

一般的には、建てた会社に連絡しても夜だとつながらない。もし、繋がって受付してもらっても後日折り返しの連絡を待つ。ということが多いのではないでしょうか。折り返しかかってきた連絡で教えてもらえるのは、薪ストーブの代理店への連絡先といったところでしょうか。

 

それから代理店に連絡が取れたとしても、薪ストーブも意外と廃盤が多くメンテナンス用のパーツの入手が難しいものもあるようです。特にガラスは品番毎に大きさ・形が違いますので、パーツの在庫がなく代理店からも「ガラス屋さんに注文してください」と言われることもよくあります。

 

結局、こういうときに役立つのは「情報」です。そう、ネット記事やYouTubeです。多くの中から発生事例に合う最新情報を選択して「解決」の方向性を出すのには断然早いのです。なんといっても待ち時間なしです。エマージェンシー向けです。

 

数分でガラス調達について目処が立ちました。スマホで見つけたYouTube動画が教えてくれた薪ストーブガラスのオーダーサイトで、概算費用と納期・注文方法まで知る事ができました。納期は3週間ほどかかるとのことです。早速、注文の準備です。

 

↑交換用ガラス注文の型紙を取るため養生テープでつなぎ合わせてます

 

↑ダンボールで型紙をつくってガラス屋さんに発送します

 

割れたガラスを丁寧に外して並べ直し、養生テープで貼り合わせてダンボール紙に型を取りました。ガラス屋さんに送るのは型紙だけで、割れたガラスは送らなくてもいいようでした。ガラスが出来上がるまで、なんとか割れたガラスを使い続けることができないかという話になりました。特設のアルミ板を被せると、薪ストーブの中の火がぜんぜん見えず火の様子がよくわからないからです。

 

 

湧き立つ「実験魂」

 

そこで、また倉庫にアルミテープを探しに行きました。ガラスの調達に目処がついたところで、いつもの「実験魂」に火がついてしまったのです。ちょっと怖いけれど自分の家です。最悪「床が少々焦げるぐらいならまあいっか」というノリで始まりました。

 

↑「実験魂」がふつふつと湧いてきてアルミテープに貼り替え

 

耐熱タイプのアルミテープは自動車のマフラー修理などにも使われますが、倉庫にあったのは普通のものでした。「ひょっとしたら粘着素材が燃えるかな」と思いましたが、ここまで来たら試してみたくてしょうがありません。

 

できる限りの安全策ということで、残っていた灰で薪ストーブの中にバリケードをつくって出来るだけ奥の方でちょろちょろと燃やしてみることにしました。

 

↑灰でバリケードを築き、おそるおそる奥のほうで着火の図

 

アルミテープ貼りガラスで薪ストーブを焚いてみると、思いのほか火の勢いは増していく気がします。いつものようにはコントロールできないのです。しばらくの間、ストーブの前に付きっきりで見張っていましたが、温度が上がってきてもアルミテープに異常はないようでした。しかし、どうも貼り合わせたガラスが徐々に反ってきて扉の枠とガラスの間に隙間ができてきたようでした。

 

↑意図している以上に火勢が増してしまう気が

 

↑吸気口のない左右が汚れていると言うことは…

 

火が消えるのを待って扉からガラスを外してみたところ、やっぱり反っていました。ガラスの左右のいちばん幅広のところが扉枠から離れて隙間ができてしまっていたようです。その証拠にその部分がひどく煤けています。ここから空気がどんどん吸い込まれていたので、火の勢いが増していったものと思われます。

 

↑左右の汚れているところが反ってしまっています

 

中の火が少しでも見えるようにと、アルミテープを水平方向にしか貼っていませんでしたので、今度は縦にも貼って再度試してみることにしました。ガラスが完全に冷えてから、重しをして平に戻してから縦方向にもアルミテープを両面貼りました。

 

↑重し(古いアイロン)をのせて反りを戻しています

 

↑縦方向にもアルミテープを貼り、再度実験トライ

 

扉にセットして開け閉めしてみると、アルミテープが反射鏡のようになって日中は見えにくかった薪ストーブの中がよく見えるようになりました。ささやかな発見です。ちょっと嬉しい(笑)

 

↑発見!開閉する際にアルミテープが反射して中が明るく見やすく(笑)

 

あらためて火をつけて、しばらく焚いてみました。そうすると、ゆっくりにはなりましたがやはり反ってきます。薪ストーブ側が凸になっていく形です。ガラスの両面の温度差からでしょうか?ガラスの隙間からの吸気の力によるものでしょうか?つぎはぎでは心許ないことは分かりました。とりあえずは毎晩こうして火の番をしながら、新しいガラスを待ちたいと思います。

 

多くの場合、お客様宅のメンテナンスに関する対応で必要なのは「情報」です。 すぐに対応すべき内容なのか?しばらく放っておいていいものか?どのくらいの「費用」「期間」で復旧できるものか?自分でできるものか?専門家に頼まないといけないものか?といったところがまず知りたい内容かと思います。

 

しかし、それを知るのにも複数回のやりとりする「労力」、その間の「時間」、メーカー社員の下見や見積もりするための「費用」を求められることもあります。こういった初期対応は、事例や情報があれば初期の目的は達成されます。必ずしも、自社の事例でなくても構わないはずです。お客様が欲しいものは、まずは正しい「情報」なのです。

 

こういったことから、住宅供給を事業としている会社では自社の商品に社長や自社の社員が実際に住んでいるということが潜在的な強みになります。住まい手にとっては、自宅より長く生活している「先輩」からの「情報」に即アクセスできると安心です。私自身いまでも、仕様の似通っている多くのお客様と「メンテナンス方法の教え合いっこ」をしている所以でもあります。それが、どなたでも24時間探せる「仕組み」になっていると理想的です。

 

 

社長の会社では、いざという時のメンテナンス対応をどうされていますか?お客様の欲しいのは必ずしも「御社の対応」なのではなく、「問題の解決」であることを社内の共通認識にされていますか?

 

 

 

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