ステイホーム中にネットでいろいろ見ていて、注文住宅のネット販売のコンテンツが気になりました。
簡単な診断で、あなたにオススメの暮らし方や家が見つかる「ライフスタイルから選ぶ」というのと、自分でカスタマイズしながらマッチする家をじっくりつくりあげていく「こだわり条件で選ぶ」という2つのルートがあって、やってみました。
設定されている質問が占いみたいでワクワク感があったり、ピンをドラッグするとプランのサイズがスッと変わるようになっていたりして思っていたより楽しめました。これは女子受けしそうです!
必要事項を入力して登録すれば選んだプランの参考価格も見れるようになるので、展示場だったら営業マンが取得に苦労するであろう個人情報などもスルッと取れる仕組みになっていました。(感心)
↑出典:総務省統計局 家計消費状況調査 2018年の結果から
住宅のネット販売は2000年代に参入が相次いだそうですが、多くのサービスはその後終了してしまっていました。 ここ最近になってから再参入が目立つのだそうなので、当時とは消費者の世代も変わって事業者と双方のメリットが確立してきたということかもしれません。
この住宅ネット販売というものですが、
●消費者のメリットとしては
・営業マンに煩わされずに自分の時間やペースで進められる
・非現実的な実物よりも現実的なヴァーチャルで堅実な選択ができる
●事業者のメリットとしては
・事業コスト削減や合理化(固定費を削減ないし変動費化して低い販売価格でも利益確保ができる)
・見込客情報取得の自動化と取得データの商品開発への利用
といった事が挙げられ、ウィンウィンのような感じもありますが…ちょっと待ってください。
せっかくIT技術が発達して高度な表現をローコストで運用できるようになったというのに残念なことも。
規格住宅なので仕方ないのかもしれませんが、用意されている外観やライフスタイルの選択肢が…なんともショボい。
やはり人情として価格が知りたくなって、いそいそと個人情報を打ち込んでみました。そうして出てきた建築費はネット販売専用のローコスト住宅とはいってもいちばん小さいのでも2200万超え!でした。
無論、本体工事のみで付帯工事費(解体工事関連費用、造成工事費用、基礎補強工事関連費用、インテリア関連費用、エクステリア関連費用など) 諸経費(登記費用、印紙代、住宅ローン手続き費用、つなぎ融資費用、火災・地盤保険費用、各種負担金など)その他費用(仮住まい費用、引っ越し費用、式祭典費用、その他費用)などは別とのことです。
演出としては自分で選択し導き出した結果が提案される仕組みなのですが、実は住まう人の生活価値の実現に重要なファクターは最初から選択肢には入っていないのです。これは、何らかの原体験がないと見破ることができない仕掛けです。
うーん。しかし、これまで展示場で散々苦戦しているレベルの営業スタイルをそのまま自動化していいんでしょうか? これまで以上により多くの情報がガラス張りになっている訳で、競合状態もよりリアルタイム化する気もしてきませんか?
機械化・自動化することは大変結構なことだと思うのですが、その前にまだまだ人が考えておくべき台本とか脚本といいったものがあるような気がします。ただただ省力化・合理化という観点で仕事の置き換えを考えるのではなくて、どうせやるなら達人の離れワザとも言えるような仕事を普通に量産できるといった、新しい仕組みだからこそ実現できるようなことに挑戦してみたいですよね。
↑これぞ原体験。小学生の頃の夏休み以来すいかといえばこんなイメージに。
人は自分の中の何らかの記憶や原体験みたいなものにヒットした時に、新しい提案がふっと腹落ちするタイミングがあるものです。 僕らのような年代は身のまわりに情報量が少なく、良さそうなものには突撃して体験してみるしかなかった訳です。 しかし、これから家を持つような若い人は圧倒的に情報量が多く、好奇心のトリガーを引くにはかなりのレベルのモチベーションがないといけません。
ひょっとすると、これからの時代は新しい技術を活用して原体験そのものをつくれる人が必要であり、業界の覇者になっていくのかもしれません。
皆さんのところは、新しい技術を使ってどんな事に挑戦していますか?