自宅の屋根裏部屋に横長で大きめのトップライトが2つあります。
この窓は開閉式で、開けるとびゅーっと室内の空気が外に出ていくのがわかります。
温まった空気は上へ上へと昇っていき屋根裏の空気は家じゅうでいちばん温度が高くなっていますので、外に出やすい状態になっているのです。
夏場の在宅時は1階のお風呂の窓を開けていることが多く、トップライトを開けると「風呂から入って屋根裏から出る」という煙突効果 ※ で室内に気流が生まれます。
※ 煙突の中に外気より高温の空気があるときに、高温の空気は低温の空気より密度が低いため煙突内の空気に浮力が生じる結果、煙突下部の空気取り入れ口から外部の冷たい空気を煙突に引き入れながら暖かい空気が上昇する現象
しかしながら、鹿児島市内では気まぐれな桜島の降灰があり、不用意に開けると大変なことになります。
桜島がお休みしている時や雨上がりなど、降った灰が洗い流されて屋根や周囲がクリアなタイミングでないと細かい灰が入ってきて家の中の水平面はことごとくザラザラになってしまいます。
そういう訳で普段は閉じているトップライトですが、年じゅう沢山の光が入ってきて屋根裏部屋に冬でも安定の明るさをもたらしてくれます。
朝一番から日が暮れるまで家じゅうで最も長い時間、照明の明かりなしで過ごせる場所になります。日の短い寒い時期には大変ありがたい室内環境だと思います。



では、夏はどうかと申しますと、これが結構大変でして…トップライトを開けてしまえば意外と涼しくなる屋根裏ですが、閉まっているとやはり暑い。
しかも、夏場の朝日・夕日は北側勾配の屋根に位置するトップライトからも容赦なく入ってきますので尚のことです。
これまでは「これは仕方ないな」ということで夏場の日中は涼しい場所を求めてパソコン持ってうろうろ移動していました。
自宅で仕事をするようになると持っていくものが多くなってくるし、あちこち散らかって「あれがない、これがない」と妙に階段の上り下りが増えてしまうのです。 そうして “トップライト断熱強化事業” に着手することになった訳です。
以前から冬場の冷気対策も兼ねていろいろ実験したりはしていたのですが、以下その変遷です。






色々試してみて、失敗もありました…NASAでも採用されたという遮熱材料と当時お客様に提案していた断熱材の性能を左右のトップライトで比較する実験をしたことがありました。


苦節18年、為せば成る為さねば成らぬ何事も。
もっと早く気づけばよかったのですが、かくして「夏でも屋根裏で普通に過ごせたらいいなあ」という願望が現実のものとなりました。
新築時にはカタログデータの数字や日射の熱をイメージした目立つ矢印のイラストを見てなんとなく満足していましたが、実際に体感する感覚は違ったものでした。
新築住宅が建つということは、パーツが集合して「ある場所」の「ある条件」のもとで機能する「住まい」の状態になるということでもあります。
実際に暮らしてみて初めて実感できることの多さを、18年住んでいる今でも感じています。

あなたの会社では、提供する価値を自分の目や感覚で確かめてお客様に提案をしていますか?
また、そうあるために日々の取り組みをされていますか?
知られざる『トップライト断熱列伝』2 につづく