「グッドデザイン賞」の闇
Gマークでお馴染みのグッドデザイン賞を冠したチラシを、よく目にするようになってきました。創設から60年以上、それだけ各地に浸透してきたということだと思います。ちなみにGマークは日本国内で81%の認知率だそうです(2020年2月インターネット調査)
しかし、実際には巧妙な『受賞ビジネス』だとの声もあります。2020年度実績では応募数4769件に対して受賞数1395件で受賞率29%、3件に1件は受賞しています。また、グッドデザイン大賞やグッドデザイン金賞、4部門のグッドフォーカス賞などが特別賞として設定されていて、グッドデザイン賞は受賞手前の実質は「ノミネート」みたいなものとも言えます。
審査は一次審査、二次審査で16万円ほどかかります。受賞後Gマークをチラシなどに表示するためには使用料として年間22万円必要になるそうです。数から計算すると、なかなかいい「商売」です。
それでも年間5000件もの応募がある理由は、その「効果」です。ほとんどの消費者は、年間1400件もの受賞があるグッドデザイン賞の詳細は知りません。なんとなく「グッドデザイン賞」=「グッドデザイン大賞?」のようにごっちゃになっていて「すごい賞」という感覚は維持されているようです。ネーミングの妙です。
自己の直接の経験に基づかない、人類共通のパターンを「集合的無意識」というそうですが、こういうケースも当てはまりそうです。
そう考えると、応募企業からすれば何十万円かかかったとしても安いものかもしれません。チラシ1回分ですから。申請は初めての方には面倒なようですが、これをお手伝いする専門の方もいらっしゃるようです。
以前、勤めていた会社でもグッドデザイン賞を受賞していて、社用車にGマークのステッカーを貼って走り回っていました。1年後でしたか、そのステッカーを剥がすように言われたのですが、ベッタリくっついていてなかなか剥がれなかったのを思い出しました。
↑ 「グッドデザイン賞」受賞を誇るチラシ。ここの社長はかなり「グッドデザイン賞好き」のようです。
『No.1調査』の闇
『No.1調査』という言葉をご存知でしょうか?
商品やサービスの広告やパッケージなどで「No.1」「業界トップ」といったワードをよく目にすると思います。「No.1」を冠した金色のエンブレムマークが3つ並んでたりするアレです。これらはその商品の有利性や信頼性を裏付けるものとして、ユーザーの購買意欲に深くかかわってくる広告手法のひとつです。
この「No.1」表記は客観的な事実に基づく根拠がなければ、不当景品類および不当表示防止法の規定によって不当表示とされ、違反に問われてしまう場合があります。こういった諸々をクリアしてくれる調査会社があって、実施してくれる調査を俗に「No.1」調査と呼ぶのです。
しかし、この「No.1」調査にも「闇」が見え隠れしています。
2022年1月にマーケティングリサーチを手掛ける企業で組織する一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)から「非公正な『No.1調査』への抗議状」が出されました。商品・サービスに関する市場調査で「No.1」にすることを目的に調査対象や質問票を設定する非公正な調査が見受けられ、見過ごせないと判断したからです。
「非公正な『No.1調査』への抗議状」はこちらをご覧ください。
言いたい放題の企業広告が信用されなくなり「クチコミ」や「第三者評価」に消費者の注意ウェイトが移ってきましたが、いつの間にか「クチコミ」に続いて「第三者評価」も操作されていたという事です。そもそも『No.1調査』という言葉そのものが、怪しすぎますよね。
↑ 新春1発目の「No.1調査」チラシ。左上の着工棟数以外の「No.1」はあやしい匂いが漂ってきます。それにしても賑々しいチラシです。
↑「建売物件数No.1」チラシ。小さい字を見ると2年前の話のようです。※印注意ですね。
↑「グループ年間完工棟数No.1」のチラシ。お客様から選ばれる「3つの理由」がいかにも「強引」です。
↑「施工実績No.1」の地域密着型塗装屋さんのチラシ(表)。加盟店部門 九州エリア2021/04/01〜05/31って?全国規模で乱発されてそうです。第1位の三連発もあやしいー香りが。
「悪質」に見えないチラシ
「クチコミ」や「第三者評価」さえも鵜呑みにはできない世の中です。こうして見ていると、住宅関連の「チラシ」には確かに「品」の良くない雰囲気のものが結構多くあるのに気がつきます。「血眼」でお客を求めている「圧」を感じてしまいます。
その中に「ギラギラ」「ガツガツ」していないこのような「クリーン&フレッシュ」な雰囲気のものが混じっていると、とても「いい人たち」に見えます。
↑営業マンがいない事での「コスパ」をアピール。VC(ボランタリーチェーン)に見えないVCのチラシ(裏)です。「事務所」ではなく「スタジオ」なんですね。爽やかです。
↑VC(ボランタリーチェーン)に見えないVCのチラシ(表)です。華々しい「実例」は、おそらく全て他社のものです。「営業」と言わずに「無料相談会」。だからほぼ毎日開催!新しい表現の発明です。
↑ ご存じ「住宅相談窓口」SUUMOのチラシ(表)「営業マン嫌い」のお客様はホッとしそうです。
↑ ご存じ「住宅相談窓口」SUUMOのチラシ(裏)まったく「売り込み感」がありません。さすがです。
実のところは本当に「いい人たち」かもしれませんが、少なくとも多くのお客様が懐くであろう「イメージ」とそのビジネスモデルの「実態」には乖離があることは事実です。詳しくは、『三大都市圏』注文住宅事情(その2)をご覧ください。
人のことはさておき、問題はその中で「御社」がどう訴えるかです。まずは社長が「どなたに?」「どう認識して欲しいのか?」パッと答えられないと話になりません。
何故なら、答えられないと集客そのものが目的化していってしまうからです。
社長の会社では紙の新聞取られていますか?入ってきた「チラシ」をスタッフに見せていますか?そして、時としては「反面教師」として活用されていますか?