続・家づくりの玉手箱 2020.09.21

ヴィンテージデッキの『修理レシピ』1

 

自宅には5箇所のデッキと後付けのキャットウォークがあります。

 

2階リビングのデッキ以外は2002年の完成当時のままの材料で、未だ現役です。
2階リビングのデッキはまだまだいける状態だったのですが、入居して数年で全部張り替えたのです。実は板の裏からビス止めしてあり、シロウトでは交換が難しかったからです。
1箇所のデッキに使用されている何枚もの材料全部が同時に傷んでしまうことはまずありません。 従って、プロに依頼してデッキの板を全部交換ということになると必ず生きている材料まで無駄に処分することになります。
そういうことは避けたかったので、あっさりと早めに交換して上からのビス止めにしてもらいました。 剥ぎ取った材料はというと傷んだところは薪ストーブの燃料に、元気なところはDIYに再利用しました。

 

そうこうしているうちにその他のデッキも完成してから18年も経ってしまいました。そして、ついに恐れていた ”事故” が発生してしまいました。
こともあろうに奥さまが踏み抜いてしまったのです。
1階の西側、和室前のデッキでした。ここはデッキの上を歩かないと敷地内を周れないようになっていて、大きくなった桂の木陰になって濡れると乾きにくい危ない場所でした。デッキを支えている下地(大引という太い角材)の上を歩けば安全なのですが、下地のないところに体重が乗ってしまったようでした。

 

↑ついに恐れていた ”事故” が発生してしまいました。

 

惨劇の後、現場を見てみると折れたデッキ材の断面は意外と木の色をしていて一見しっかりしているように見えました。しかし、触って見ると軽石のように軽くてかなり脆くなっていました。
やはり、ビスで止めてあるところの穴の周辺は水が染み込んでスカスカになっていました。

 

↑中の方は木の色をしてはいるのですが、とっても脆くなっていました。(折れた板がそっとのせてあるのがウケます)

 

 

 

今回は1階でまだ良かったのですが、2階にも奥さまが毎日利用するデッキがあちこちあります。すぐさま、家じゅうのデッキを点検することにしました。まずは、最も心配される造りのキャットウォークを点検。木口(板の切り口)がやはり割れてきていて、ビス穴の周りが腐りかけていました。

 

↑最もリスクの大きいキャットウォーク

 

↑先っちょだけですが、かなり傷んでいます。早めに修理することに

 

板2枚だけなので、すぐに交換することにしました。
しかし、ビス頭の+の溝が削れてしまっている箇所があってドライバーで回りません。一本一本ニッパーやプライヤーで手回ししたので、抜き取りにずいぶん手間取ってしまいました。
以前、現場を見せていただいた工務店のF社長は大工さんで、デッキ工事に四角い穴のビスを使っておられました。値段は高いそうですが「あとあと手入れするときに確実に抜けるから」とのことで、さすがだなと感心しました。

 

↑キャットウォークの板を剥がしてみたら、受けの材料(ヒバ)はまだまだいけそうでした

 

↑ビス頭がつぶれていて、ドライバーでは抜けませんでした

 

↑F社長オススメの四角い穴のビス

 

元々の板はヒバでした。ヒバ材は高価で手に入れるのに時間もかかりますので、ホームセンターに走って2×6のSPF材を買ってきました。ホームセンターですと値段は安くはないですが、一本一本現物を見て色や木目や反りなどを確認、選んで買えるのがいいです。
少量買って全部使わないといけない場合には尚のことです。せっかく長めの材料を調達しましたので、仕上がり寸法を元より長めにしてみましたら、かなりいい感じになりました。DIYの余裕と言いますか、ボチボチと仮に切って置いての時間に追われない仕事の成せる技です。

 

↑ホームセンターの2×6材(38mm×140mm)で新品になりました

 

↑板を少し長めにしたら美しくなったのと同時に渡るときの安心感が増したようです

 

 

 

次に取りかかったのは、玄関から続くポーチデッキの外階段の下の部分でした。 ちょうど階段から降りてきて着地するところが腐っていて、今にも踏み抜きそうな状態になっていました。
玄関ドアのところは屋根が掛かっていますのでまだまだいけそうですが、ここは年中雨晒しなのでやはり早く傷んできます。(とは言ってももう18年ですが)
よく見ると傷んできているのは4枚で、それ以外はもう少し持ちそうです。
また、こうかんする4枚はそれほど長さも必要ないので先ほど外したキャットウォークの板が届きそうです。短い2枚には、デッキから取り外して置いてあったベンチの板が長さもちょうどいい感じで使えました。

 

↑いちばんよく踏むところが危険な状態に

 

↑ダメになっている板は4枚だけ。同じ条件下でも板の個性で寿命は違ってくるのです

 

↑置いてある左の茶色2枚は元キャットウォーク、右の赤っぽい2枚は元ベンチの板です

 

↑著書 家づくりの玉手箱「吉岡さんちの暮らし」の帯をはずすと在りし日の手製のベンチが写っています

 

↑ほどよく塗装が剥げていて、違和感なく馴染んでいます。(強度は十分です)

 

 

かくして、とりあえず危険な箇所は修理完了となりました。

 

 

自宅では修理用に何枚かヒバのデッキ材をストックしてあるのですが、今回は使いませんでした。 新築時には大量の材料を使ったデッキが何ヶ所もあって何となく将来に不安を感じていましたが、18年経ってみてそれぞれの傷み具合を見ていると傾向と対策がわかってきました。
少々メンテナンスに手を取られるとはいえ、日常お世話になっている箇所についてはそれほど苦にならないというのが正直な印象です。しかし、ほぼ目にすることのない場所や恩恵に与れない箇所があるとすれば、手を入れるのは億劫ですし解体処分したくなる気持ちもよくわかってきました。

 

 

 

 

あなたの会社では、自然素材のメンテナンスなどについてお客様にいつ頃どうなるのか?説明してあげていますか?また、その際にどのように対応すればいいのか?事例を重ねて示してあげられるよう仕組みにしていますか?

 

 

 

ヴィンテージデッキの『修理レシピ』2 につづく

 

 

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