続・家づくりの玉手箱 2021.03.30

春を感じ始める『一瞬』

 

春を感じる『感度』

 

今年も春が来ました。自宅で過ごすことが多くなって、季節や時間による変化を感じることが格段に増えました。これまでは気がつくと、花が咲いていたり紅葉していたりという感じでしたが、最近ではその変化が始まる瞬間に出くわすことができるようになってきました。

 

季節の移り変わりや変身する自然の姿を楽しめるのは、日本に生まれた ”特権” でもあります。しかし、住まいにかかわる仕事を長年なりわいにしてきましたが、自宅でそういう感覚になれたのはつい最近のことです。自宅で仕事をするようになり、家で落ち着いて日中過ごせるようになったおかげで、季節や自然を感じ取るセンサーがようやく働き出したような気がします。

 

これまでも感じていたはずなのに、やはり何か余裕がないというか、感じ取れていなかったのかもしれません。毎年毎年ここには同じように季節の移ろいや自然の姿はあったのに、見ているようでも脳ミソが認識していなかったのでしょう。

 

↑雨つぶがふくらんだ新芽のように見える、冬の落葉樹(カツラ)

 

↑鹿児島の自宅では、お風呂の前のモミジが毎年毎年いのいちばんに春を告げます

 

↑カツラの新芽が開いた直後はかわいくてみずみずしいハート型をしています

 

↑春を感じる桜のつぼみが開く頃、愛車の赤がきれいに見えるのです

 

桜の木も大きくなってロフトの窓の前にもたくさんの花を咲かせてくれるようになりました。白々と夜が明ける頃、窓の外に目をやると花びらが光っているように見え、夜明けが窓のそばまで近づいてきたみたいです。

 

↑ロフトの枕元から見える夜明け前の桜の花がいちばん綺麗です

 

 

自宅を感じる『感度』

自宅で過ごすことで新たな感じ方をするといったことは、多くの方が経験されているようです。コロナ禍になってリモートワークの日が多くなって、住まい観に変化があった人は多いものと思われます。私の場合はステイホームが幸せになる恵まれた住まい環境でしたが、その逆に居ずらさを感じておられる方が多いことも明らかになってきました。都内のマンション販売にはマイナス、通勤には遠すぎるとされていた近郊エリアの中古住宅や宅地にはプラスの影響が既に出ているようです。

 

ひとむかし前よりも忙しくなった家族が共に住まう場所では、すれ違うことを前提に折り合いをつけていたのかもしれません。コロナ禍で、常に全員揃って生活することが、いかに相応しくないことなのかを実感してしまったのです。今後、住まいの立地は職場近接でなくてもよくなる人が、一定数増えていくことになりそうです。そのとき住む場所の選択は、より居心地のいい人間的な感性にかなうものになっていくものと思われます。

 

その際につくり手である工務店がなすべき役割にも、本当に安らげる居場所をつくるという要素が改めて求められるようになっていくはずです。その住まい手からの負託に応えられる感性と知恵をあわせ持つ工務店は少なくなっています。そういった「つくり手」が減ってしまったところに、住まいの居心地の悪さに気づいた「住まい手」が増えた訳ですから、大きな満たされない願望が生まれてきます。「家にずっと居たい」と家族みんなが思えるような本物の提案のできる工務店にとってはまさにチャンスです。

 

 

 

あなたは自宅で毎年訪れる春を感じ始める一瞬を楽しめていますか?つくり手として、そういった小さな日常を喜び、お客様にもシェアできる存在になりたいものです。

 

 

↑桜が咲くと「ヒヨドリ食堂」になります。どうもおいしいみたいです。

 

 

 

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