自宅木風呂の『外科手術』 その1 からつづく
なんとかお風呂にお湯が張れるようになって夫婦の異常な緊迫感は解けましたが、このままでは再発は間違いなく、そう長くは持ちそうにありません。
原因としては 湯船本体の底と ”下駄の歯” のパーツとの間の隙間に入り込んだ水が乾燥しにくく、接している木を腐らせてしまう事が大きいようです。そこで、 ”下駄の歯” のパーツを改良して問題の乾燥しにくい隙間をつくらないようにすることにしました。
↑ ”下駄の歯” のパーツがどうもネックになっているようなので取り外しました
↑ ”下駄の歯” の代わりの別パーツを自作しました(矢印部分は排水穴の下の整流ガイド)
水に強くて硬く重いアイアンウッドを買ってきて、 ”下駄の歯” の代わりの別パーツを作ってその上に湯船を乗せることにしました。別パーツには大きめのゴム足を取り付けて湯船本体とも土間コンクリートとも直接接して乾燥しにくい狭い隙間をつくらないようにしてみようと思ったのです。
↑湯船本体と出来るだけ接触面積を減らすためのゴム足を装着
↑もちろんコンクリート面との間にも大型のゴム足を
何度も仮置きして排水実験を行いました。(実際には1週間ほどはシャワーのみの入浴となりました)湯船が置いてある場所はコンクリートの土間が凹んだ形状になっていて、湯船が埋め込まれるような高さでセットできるようになっています。湯船は土間に置いてあるだけなので、空の状態だと押すと動きますが、お湯が張られると重みで全く動かなくなります。
湯船とコンクリート面との間には若干の隙間ができますので、普段は四方の隙間を木の蓋で塞いで使うようになっています。(この蓋がないと眼鏡を落としたりして取れなくなる事もあります)
↑いつもは木の蓋がしてある湯船のまわりの隙間
排水実験を行う際にはこの四方の隙間の木の蓋を外して排水してみながら上から確認するという事を繰り返しました。そうすると、根本的なことに気づきました。
ゴム栓を抜いて排水すると、一時的にプールのように水がたまってから徐々に引いていくというような感じだったのです。しかも毎回水位は”下駄の歯”の高さを完全に超えています。湯船の水が満水であっても、少しためた感じの量でやってみても同じように毎回プールになっているのでした。
要するに湯船の排水量に対して土間コンクリートの排水穴が小さ過ぎたのが根本原因でした。そのためにせっかく嵩上げとして設けられた ”下駄の歯” も役目を十分には果たせなかったという訳です。(その後、木風呂の標準仕様として土間コンクリートの排水穴の径は大きくされました)
しかし、自宅の場合は今から土間コンクリートの排水穴と菅の径を大きくするのは難しい。ということは湯船の排水口を小さくすればいいのではと考えました。通常はスポッと抜いてしまう湯船のゴム栓を全部抜かずに斜めにして排水量を減らす実験をしてみますと、これが全然プールにならないのです。
↑湯船の排水口(通常はゴムの栓をスポッと抜いちゃいますが…)
↑湯船の排水口(このようにゴムの栓を斜めにしておくとチョロチョロ排水されて…)
といった経緯を経て、試行錯誤の末に木風呂の傷みの原因を特定して対策を見つけることができました。 理屈が分かれば木風呂も怖くない!(住まい手としては怖い目にあいましたが)
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