また来た「出張大工の依頼」
今度は次女から「出張大工の依頼」がありました。勤務している洋菓子店で別の店舗に異動することになったというのです。「働き方改革」などと言われる世の中ですが生菓子づくりは朝が早く、特にかきいれ時の冬場は公共交通機関では始発でも間に合わないのです。なので、そこで働くみんなはお店の近くに住むのだそうです。
ゆったりしていた三軒茶屋の部屋をひきはらって、急遽引っ越すことになりました。これから勤務するお店も世田谷区内です。せっかく新しく借りるなら少しでもお店に近い部屋にしたいのですが、家賃水準の高いエリアです。うちの娘たちは「トイレが独立している」という点は絶対譲れないらしく、部屋探しはいつも難航します。かといって家賃もそんなには出せないからです。
ようやく見つけて送ってきた物件は、大手ハウスメーカーの2階建て賃貸物件でした。物件チラシには「コーポ」とありますが、いわゆるアパートです。最寄り駅から遠く、人気の悪い1階の部屋につき家賃は手頃でした。次女はどうせ自転車かバイクでの通勤ですから、駅からの距離は関係ないのです。部屋のサイズは7.5畳の1Kというやつです。
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毎度のことながら、賃貸の部屋はキッチン周りが最低です。狭いのは仕方ないとしても、ご飯をつくって食べる環境になっていないのです。自炊は健康維持と節約の基本です。最近はどこでも近くにコンビニがあって、賃貸のキッチンには自炊する雰囲気がありません。
古い話ですが、大学時代に入り浸っていた友人のアパートは本当にボロでした。もちろん風呂はなし、トイレはくみ取りでした。酔っ払ってスリッパをいくつ落としてしまったか分かりません。室内に湯沸かし器があって、流しにお湯が流れるとポコポコ音がしたものです。
それでも立派にご飯はつくれるスペースの確保はされていました。大学の近くでしたから当時でもコンビニはありました。しかし、生活費を切り詰めて暮らしていた学友たちは、コンビニで物を買うような「贅沢」は試験が終わった日ぐらいしかしませんでした。みんな実家から送ってもらった物資で「自炊一筋」だったのです。賃貸物件に限らずですが、現代では住宅のキッチンの考え方が変わったように感じます。見た目にはキレイになったようですが、機能的にはゼンゼンです。
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畳じゃないのに押入れ、狭いのに室内干し
初めて部屋を下見する際には、扉があるとなんとなく開けてしまうものです。どうせ特別なにも入っていないのですが、ついつい開けてしまうのが人情です。部屋にはひとつだけ収納がついていました。天井までの高さの折れ戸がついています。ハンガーパイプがあるんだろうなと開いてみると中段がつけてありました。押入れ仕様です。この部屋は洋室で、床には畳は敷いてありません。しかもフローリングではなくフローリング柄のCFシートです。(そういえば物件チラシにも自慢げに書いてありました)
ここにお布団を敷いて寝る人はあまりいないような気がしますが、中段がついているということは主にお布団を収納するスタイルになっている訳です。ベッドの場合は通常衣類収納が優先かと思います。この物件は紛れもなくあの超大手ハウスメーカーのアパート商品ですが、借りる人のことは全然考えてないと言っていいでしょう。
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そもそも、洗濯物を干すという機能はどうなっているのでしょう。このアパートの場合、極小スペースのバルコニー?に竿掛け用の腕がついている仕様です。極小スペースのバルコニーは、洗濯物を竿にぶら下げて干すための足場としては使えますが、そこに立って窓を拭く際にしゃがめない奥行きです。エアコンの室外機の厚みとそれほど変わりません。
このアパートの敷地には余裕があって窓の外は庭になっています。「少なくても1階の人には庭を使わせてあげればいいのに」と思いました。不動産事業としても、その分少しだけ家賃を高くしても問題ありません。これがこのアパート商品の標準仕様なのかもしれませんが、水準としてはウィークリー物件のようです。建築コストとメンテナンスを考えると、こういうことになってしまうのでしょう。
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脱衣スペースをどうするか
これまで娘たちの部屋をリノベしていて共通しているのは、脱衣スペースをどう確保するかということでした。「小さい部屋でひとり暮らしなら、そんなもんいらんやろ」と言わんばかりの部屋ばかりでしたが、今回の部屋は極めつけでした。お風呂から上がったら玄関なのです。いかにもわびしい。。。
この部屋を借りる以上、お風呂の場所を変えるわけには行かないのですが、気持ちの上で少しでも良くならないものか考えました。結局、玄関ドアのところにカーテンを付けるぐらいしか出来ませんでしたが、自分でも泊まって風呂に入ってみると意外と便利なことに気付かされました。
驚いたことに取り付けたカーテンも、バスタオルも、着替えも、お風呂に中に立っている状態で届くのです。使ったタオルをお風呂の中から洗濯機に投げ込むのだって楽勝です。あまりの狭さで、必要なすべての機能にお風呂の中からアクセス出来てしまうのでした。キャンピングカーや高級小型船舶の中のようです。(そんないいものではないですが。。。)
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できる限りのチューニング
例によって、数日でかたをつけなければならない「出張大工」はかなり疲れます。毎度、予定通りいかないことはいくつも出てきます。しかし、数日間でかなりの体験をすることになります。「図面通りに作る」というより「住む人が喜ぶ」という視点で仕事をしているからです。
これは、自宅を建ててもらった古巣シンケンの思想そのものです。現場ではうまく行かないことがつきものですが「完全に規格化してうまくいかないことを無くして能率よく進める」よりも「ひとつひとつの現場で施主に永く好かれるためにどうすべきかを常に考える」という選択をした集団の思想です。
それを実践し続けることは本当に大変ですが、続けられた場合のみ人にも会社にも確かな成長が贈られるのです。
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年末になるとパティシエさんは徐々に出勤時間が早くなっていきます。クリスマスの仕込みは日々戦いです。そして、帰宅時間も徐々に遅くなってきます。こればっかりはどうしようもないようです。そして、その頃はどんどん寒くなってきます。毎日夜明け前に家を出ていく生活ですから、いっそう寒さを体感する訳です。
クリスマス近くに東京出張があって、部屋に泊めてもらうことにしました。部屋に入ってみると涙ぐましい寒さ対策が施されていました。窓や玄関、さらには床下からの冷気が耐え難いというのです。泊まってみて分かりましたが、冬山用の寝袋に入って寝ていても床に転がっていると冷気を感じるほどでした。この部屋で、冬場普通に布団で寝るのは無理だということを悟りました。
どうしてこんなに寒いのか?まるで外のようです。どうやら玄関ドアのすきまからの冷気が半端なくすごいことが分かりました。賃貸ですから出来ることは限られますが、玄関ドアに「すきまテープ」を貼ることにしました。気休めかと思いつつ、出張ついでにメンテナンスさせてもらいましたが、意外にも効果抜群であったそうです。
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賃貸リノベによる「お父さんのご奉仕」は回を重ねる程に難易度が上がってきます。いまのところ、娘はふたりとも独り者です。いつまでこのような「ご奉仕」は続くのでしょうか。また、いいのが出来ましたらご紹介します。
アパート暮らしでも「ご飯をつくって、洋服しまって、脱衣スペースぐらい欲しい!」狭さは知恵を出せば逆利用できるようです。