続・家づくりの玉手箱 2022.03.14

『家庭菜園』考

 

なぜ『家庭菜園』が欲しいの?

 

長い間、住まいづくりの仕事をして来ました。

 

施主が『家庭菜園』をご所望になるケースも多くありました。野菜づくりのご経験は様々で、どちらかというと未経験の方のほうが多かったように思います。

 

「せっかく自分の土地を買ったのだから、小さくていいので「畑」が欲しい」との声に、それなりに答えてきたつもりでした。しかし、その言葉の「本質」を捉えきれていなかった事に気が付きました。

 

自分の家を建てて子供が巣立ち、自宅で食事を取ることが多くなって、感じ方が変わってきたのです。営業マン時代は、休みも少なく自宅での食事もバタバタしていましたので、ようやく「当事者」になったと言ったほうが正しいかもしれません。

 

キッチンやダイニングからいつも見える場所に『家庭菜園』を設えました。妻が立ったまま世話のできる高さにしたら、室内から見えるビジュアルもいい感じになりました。

 

↑4月末。野菜用のプランターのサイズに合わせて専用台をDIY

 

↑日当たりのいいカーポートの上に設置して完成

 

↑『家庭菜園』スタートの図(左端は種からなので不織布を敷いています)

 

↑芽が出てくるだけで嬉しいのです(大人になっても小学生と何ら変わりません)

 

↑トマトソースのパスタにバジルの葉をぱらっとすると「お店」の味に

 

 

『家庭料理』が豊かになって価値がある

 

子育てを終えると、夫婦いっしょの食事が増えてきました。年齢と共に食べたいものにも少しずつ「変化」が訪れますが、旬の採れたて野菜の味は身も心も喜ばせてくれます。

 

「畑」は「家庭料理」になり「季節の味」になって初めて「喜び」に変換されるのですね。単純な事ですが、家づくりで目の前に浮かぶ優先事項に目を奪われていると、そんな事でさえ気づかないのです。

 

↑5月下旬。鹿児島は春でも夏のように日差しが強いのでどんどん育ちます

 

↑1ヶ月前に蒔いたラディッシュが食べごろになってきました

 

↑土のついている姿が食欲をそそります

 

↑海老炒飯にのせてみました。きれいです

 

 

畑ができる前は花を育てていました。蝶々が飛んでくると「あ。蝶々!」みたいな感じでしたが、畑ができると「また卵を産み付けに来たな💢」に変わるのでした。

 

最初は「見た目重視」で不織布のカバーは無しでしたが、あっという間に穴だらけになっていく葉っぱを見ていると、すぐに気が変わりました。「農家マインド」になっていくのです。

 

↑6月下旬。ベビーリーフが不織布の中で大きくなっていました

 

↑ごはんの直前に収穫に行くのが不思議と楽しみなのです

 

↑ガバオライスの採れたてを添えると「料理本」のようになります

 

 

夏場になると葉物は食べ尽くしてしまい、ビジュアルは今ひとつになってきました。ナスやキュウリは今ひとつでしたが、ミニトマトが毎日順次色づいて食卓を楽しませてくれました。

 

↑7月下旬。夏本番を迎え、ずいぶん背丈が伸びてきました

 

↑毎日ミニトマトが順番に色づいてきます

 

↑レタスの焼きそばに添えるだけで、美しくヘルシーなビジュアルに

 

 

秋から冬の時期も楽しめれば「本物」

 

夏が過ぎると、改めて土を整えて種をまきました。鹿児島の冬はなかなかやって来ませんので、まだまだ楽しめそうです。 小さいながらもしばらく畑をやっていますと、作物はやはりコスパと言いますか、収量の多く安定した面々になっていきます。毎日の食事に、パッと取りに行ってサッと使えるのが何よりです。近所のスーパーで売ってないものなら尚嬉しいものです。

 

本格的に畑をされているご近所さんに、根っこの付いたままの野菜を大量に分けてもらう事もあります。そういう時はしばらくの間、自分達の畑に植えておいてキープする事もあります。たくさんもらえた時の鮮度維持にはいい方法です。ネギなどは使った残りの根っこのところを植えておくと、また伸びてきます。少しだけでも畑があるといいですね。

 

↑9月下旬。畑らしい面構えに。1年半ですっかり板が”銀鼠色”になりました

 

↑「ルッコラ」と「ピーマン」は安定収穫の定番です。(青唐辛子みたいですが「こどもピーマン」です)

 

↑ゴーゴーカレー(金沢名物)+チキンカツ+たっぷりのルッコラもうまいです

 

↑12月下旬。冬場は半分ぐらい花畑になっていました。いつも室内から見えていて気分が上がります

 

↑2月中旬。鹿児島でも2年に1度ぐらいはこんな日が。畑が心配になります

 

 

「畑」の紹介というより「食レポ」のようになってしまいました。でも、それでいいのです。

 

有名な格言のひとつに「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」という言葉があります。経済学者であるセオドア・レビット博士が1968年に発表した「マーケティング発想法」という本がその出典です。それに従って考えてみると、「畑」を要望する人が欲しいのは「収穫のある生活」です。おそらくそれは誰もが取組めて『家庭料理』が豊かになるという、ハードルの低いものでしょう。

 

そう考えると、余った土地の片隅に土を盛って囲うだけでは不十分であることは、すぐに分かるはずです。日当たりのことはもちろん、水やりの際の利便性、多少の道具や余った土や肥料などを保管しておく場所だって必要でしょう。プラン図に「畑」と記すだけでは「合格」とはなりません。「収穫」を楽しむ感性が求められるのです。

 

 

社長の会社ではお施主様から「畑が欲しい!」と要望されたとき、どのような対応をされていますか?まさか「エクステリア屋さんを紹介しますので建物完成後に相談してみてください」などと、言ったりしてないでしょうね?

 

 

 

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