続・家づくりの玉手箱 2023.10.30

執念の「花台」再建

 

 

ついに崩壊した「花台」

 

 

ある夜、ドーンと音がしました。どうやら玄関ポーチの屋根に大きめの猫が着地したようです。翌朝、見てみたら違っていました。「花台」の前板2枚が崩壊していたのです。数年前から危ない状態になっていました。だましだまし応急処置をして持たせてきましたが、ついに限界が来たようです。

 

 

↑【2023年】ついに崩壊してしまいました

 

↑崩壊していますが、道から見てみると意外に分かりません

 

↑ここ最近は、こんな状態で使っていました

 

↑【2017年】まだこの頃は道から「花台」本体が見えていました

 

 

この「花台」も、もうかれこれ21年目です。正直ここまで持ちこたえてくれるとは思っていませんでした。新築当時、シンケンでは「花台」と言っても花を置く場所ではないものがスタンダードでした。主に外観のバランスを取る要素が強かったのです。

 

本来、花を置かないのなら「花台」という名称はふさわしくなく、お客様には紛らわしいこと極まりない存在でした。しかし、妻は花が好きで「花台」は花でいっぱいにする気満々でした。実際に花を育てるとなると、けっこう大きな容量のプランターが必要になってきます。

 

しかし会社としては「花台」は、外観が美しく見えるようにプランターそのものは隠したい訳です。実用的な容量と、美しい外観を両立させるべく、新築時には現場監督K氏も大変苦労をされたと思います。K氏の重ね重ねの吟味の結果、出来上がったのがわが家の「花台」でした。

 

 

↑【2002年】入居直前の頃(「花台」の天端に笠木が見えますが、妻に「いらん」と言われ速攻で外しました)

 

↑【2003年】入居直後の頃(家の中からは花は見えませんでした。K氏苦心の笠木は既にありません)

 

 

 

「花台」再建工事の推移

 

 

実のところ、修理用の金物パーツはすでに準備してありました。いつ崩壊してもおかしくない状態でいたから、前もって製作してもらっていたのです。金物パーツを加えることで木材加工を最小限にして交換作業を簡単にしようと考えたからです。

 

K氏の仕様は機能と外観を両立するものでしたが、大工さんの加工技術を駆使したものでしたので、パーツ数も多く再現が難しいものでした。解体してみるとビスの数もかなりのものでした。元々の材料はヒバの無垢材が使われていましたが、今回はホームセンターで売ってるSPFのツーバイフォー材に防腐剤注入したものにしました。

 

鹿児島のホームセンターでは配達サービスがあって、有料ですが安いんです。クルマに載せられない長い材料を1枚でも配達してくれますので、小売価格で買っても送料込みなら意外にコスパはいいのです。修理用の金物パーツの形状は、妻の要請により決まった寸法です。プランターの上げ下ろしの作業性最優先ですから、外観要素はほぼ優先されていません。

 

 

↑【2023年】 嵩上げ用の角材をどけてみたところ(スカスカの底板には着生植物「ノキシノブ」が生えています)

 

↑【2023年】木材を全て撤去したところ(本体から持ち出した金物だけになりました)

 

↑【2023年】準備していた特製「延長金物」を載せてみたところ

 

 

 

↑【2023年】仮に材料をのせてみて、道から見てみました(やっぱり金物が目立ちます)

 

↑【2023年】4.8mと長いので玄関ポーチの上で塗装します

 

↑【2023年】金物まで全部塗って固定しました

 

↑【2023年】こういう形状なので板3枚で済みました。しかも材料の加工はゼロです(このつくりなら腐ってもなかなか崩壊しません)

 

↑【2023年】あらためて道から見てみました(もう金物は目立ちません)

 

 

 

「施主」はシニアになると自分を大切にする

 

 

入居してから20年以上も経ちますと、色々な事が変化してきます。それぞれの家庭によってその変わりようは様々でしょうが、変化すること自体は例外なく皆が経験することです。そして、徐々に家で過ごす時間も長くなってきます。ようやく自分自身を優先して大切にできる時期を迎えるのです。

 

担当させていただいたお客様と会う時には、必ずご家族の近況とあわせて家での過ごし方の変化を尋ねることにしています。「予想どおり」に暮されている方もあれば「予想に反して」面白いことになっている方もいらっしゃいます。

 

同窓会の時に一気に確認する「同級生のその後」みたいな面白さです。「予想どおり」に老けているやつ、「予想に反して」大変貌しているやつなど、永年、実際に自分の人生を生きてきたシニアの楽しみのひとつです。何しろ、どちらも正真正銘ノンフィクションですから。

 

 

↑【2023年】ふたたび角材を組んで嵩上げします(あくまで室内優先です)

 

↑【2023年】室内重視のセッティング完了(プランター丸見えです)

 

↑【2023年】完成の姿を道から見てみました(プランターは大して気になりません)

 

 

 

↑【2023年】窓の近くに腰掛けると花に囲まれる感じです(春はずっとここにいたいのです)

 

 

 

かくして「花台」が再建されました。あと20年以上はこれで行けそうです。もし、交換することになってもこれなら高齢者でも大丈夫そうです。もし、もう少し前の「花台」についてご興味のある方は、ぜひ 続・不屈の園芸魂 をご覧ください。「花台」末期のむりむり補強についてご紹介しています。

 

 

 

「施主」はシニアになると家族構成や生活パターン、身体的コンディションなどが変化してきます。自然に自分を大切にする生活に入っていきます。住宅屋さんは皆、そのフェーズを知っておく必要があるようです。

 

 

 

 

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