妻は花を育てるのが大好きです。
今の家に引っ越してから、これまでずっとだいたいは花が咲いていますので、どうやらこれは本物です。 10年前に発刊された書籍『家づくりの玉手箱』でも、入居後早速お花のお世話に励む妻の様子(32、33ページ)をご紹介しました。
書籍『家づくりの玉手箱』(32、33ページ)のコンテンツはこちらからご覧ください。
我が家には2階のキッチン・ダイニングのところに4つ並んだ窓があります。ここは家の前の道路からよく見える場所なので、その窓全部にプランターが置けるボックス型の花台が設けてあります。当初からお花を絶やさない構え、やる気満々の仕様だったのです。
このボックス型花台の高さについて、新築時には大いに悩んだものです。 4つの窓は縦すべりのオーニング窓です。この窓は全開状態にして室内から外側のガラスが拭けるつくりになっていました。ということもあって、開閉時に花が干渉しないように花台の位置を下げて取り付けることにしました。


その後暮らしていく中で、じわじわと花の位置が上がっていくのでした。
妻がせっせと日曜大工の端材を積み上げてはその上にプランターを載せかえていたのです。やがてプランターが外からまる見え状態になってしまい、外観デザイン的にもボックスの意味をなさなくなってしまいました。そうなると窓の開閉時に花に当たってしまうのですが、自宅の場合は外階段のあるバルコニーから渡ってポーチ屋根の上に立って外から窓ガラスが拭けるようにしましたので、実のところ花台の高さは高くてもぜんぜんよかったのです。



このような発想は住み始めてから閃いたものです。
あれほど色々考えていたのに設計段階ではまったく気づきませんでした。
その家、その場所で生活し始めると当たり前のようなことなのですが既成概念とでも言うのでしょうか、それまでは室内から窓拭きする機能やイメージにずっと囚われていたのです。その時点では明らかに二流であったと言えます。
この花台は、
●何のために作られるのか?
●そのために何が優先されるべきか?
●デメリットとなる点(今回は掃除やメンテナンス)について有効な改善手段は他にないのか?
といった視点が持てていれば、設計中や建築中に気づくことが出来たかもしれません。このようなことを考えるのを「面倒」とするか、「面白い」とするかでその先に拡がり見えてくる景色は大きく違ったものになります。
写真を撮った際に改めて花台の様子を見ていると、かなり年季が入ってきてました。 全体の荷重は建物本体に取り付けてあるスチール製の特大L金物で受けていますので安心感がありますが、デッキ材の一部はスカスカになっています。そろそろニューバージョンの花台製作の時期かもしれません。



毎日毎日、食卓につくと元気に生きている花がそばにいてくれて幸せを感じています。花があると蝶や蜂などの虫もしょっちゅうやってきます。定位置に座っていても自然や季節を感じられる、こういう場所のための「作り直し」はさほど苦にならないものです。

あなたの会社では、入居後の生活視線で日常の動作や機能を評価する習慣が根付いていますか?
各パーツの使い勝手をカタログ上の機能説明を超えて、実際に住まいの一部になった時の全体像で捉えなおす目を養っていますか?