そういう状況になると社長は次に何を考えるかというと、多くの場合『新しい武器』を手に入れることだったりします。そこで、VCの営業担当の出番です。「社長!新しい商品がリリースされてますよ。まだ、今なら御社のエリアは確保できます!」ここで必ず「今なら」と言うのがミソです。
この「今なら」の言葉に社長は「もし、商売仇のB社に先を越されたらまずいことになる💦」と言う懸念がグングン湧いてきて、即決で追加購入を決めてしまったりします。
場合によると、自社のエリアでその商品を販売する気は全くなくても購入される社長もおられます。どうして、数百万もの資金を注ぎ込んでそのような買い物をするのでしょうか?
それは、エリア内の他社にその商品を売らせない為なのです。自社商品の優位性を脅かすものの芽を摘むという戦略なのです。
今やっている大河ドラマの始めのほうにもそういうシーンがありましたが、なんだか時代劇でよくある堺の商人と戦国大名との展開のようです。
いやはや何とも驚きました。
前置きが長くなってしまいましたが、私の忘れえぬひと言はVCで長年のあいだ全国津々浦々を走り回ってこられたベテランのお言葉です。
「吉岡さん、我々の営業の根幹は工務店の社長の頭からいかに思考を奪うかなんですよ」
というもので、それを聞いたときにはいつも温厚で穏やかなその人の顔が悪魔の顔に見えて背筋がゾワゾワーっとしました。
そうです。そうして各地で軍拡競争を煽り自分たちの売り物を自分たちでは考えない体質をつくっていくのだと言うのです。VC=武器商人とも言えそうです。
私がこわばった顔をしていたからでしょう。その方が次に言われたのですが、
「吉岡さん、僕たちにも正義はあるんですよ。」 「部材の共通化、仕入れの一本化によるコストダウン、加盟店同士の事例・情報共有による教育研修、最新のマーケティングプロモーションによる見込客の提供などを通じて日本の住宅品質の底上げを担っている。地域(各地)の工務店がハウスメーカーに潰されないように支えているんです。」
なるほど、そういう一面も確かにある・・・しかし、考える力を失い、他者への依存性の高いビジネスになっていて、果たして長きにわたるその後の繁栄があるのだろうか?
お客様が本当にそういう自動車ディーラーのような在り方を望んでいるのだろうか?
社長、あなたの思考は奪われていませんでしょうね?